この本は、近所の本屋でトレードの参考になる本を探している際に見つけたものです。トレンドフォローによるシステムトレードを行う上で必要な知識、心構え、準備が一通り網羅されており、大変参考になりました。すばらしい本だと思います。原書は洋書で、英語で書かれたものを翻訳したものですので、一部に翻訳によって曖昧な表現になっていると感じ、インターネットで原文を探したくなることが時々ありました。英語が読める方は直接英語で読むのも良いかと思います。私も将来原書も入手して英語版を読みたいです。
この本で示されている考え方は、新たな知識として勉強となった部分もたくさんありますが、私が約1年半のトレードの経験を通じて感じてきたこと、それを踏まえて実践してきたことと重なる部分も多くあり、とても共感を覚えました。そのため、示されている新たな知識の部分も私が将来経験するであろうこととして信用・検討・実践に値するものだろうと思えました。
ただ、著者は”チャンネルブレイクアウト”と”押しと戻り”の両方を使うトレンドフォローを実践する方のようですが、具体的な手法が示されているチャンネルブレイクアウトについては、私が使っている東証の株式データを使ったプログラムによる検証では、残念ながらあまり良いトレード成績にはならず、実践に値するものとは思えませんでした。著者は指数先物など株式ではないものをトレード対象としているようですのでそれが影響しているのか、時代が変わったのか、私のプログラムが不完全なのか、検証における成績が良くなかった理由は今のところ分かりません。今後引き続き研究していきたいと思います。
著者は、テクニカル指標でできるだけパラメータが少ないものを使うべきであること、またそのパラメータはできるだけオリジナルの設定のままで使うことを主張していますが、私の検証結果を見る限りでは、これまでに開発されてきたチャンネルブレイクアウトの手法をオリジナルのまま日本の株式に適用するのは厳しく、少なくともパラメータのチューニングは必須のように思います。
本書では、”押しと戻り”を狙うトレンドフォローの手法については具体的な説明はありませんでしたので、これも今後の研究課題です。
総じて思うのは、本書で示されてている、システムトレードを行うために必要な準備、心構え、システムの構築、はシステムトレードを行う上での必須の要習得事項だと思います。それをしつこいほど丁寧に説明されている点はとても貴重だと思います。
著者も書いていますが、通常はこれらの習得が十分でないままトレードを始めるため、最初はみんな損をします。損をして危機感を覚えた人は、自ら勉強してこれらを徐々に習得していくのだと思います。私もまだゴールには程遠いですが、実際に損をしながらこれまで習得をしてきました。トレードを始める前にこの本を読んで準備万端にできれば最善だと思いますが、なかなか難しいでしょうね。トレード開始後にどれだけ早くこのような良書に出合えるかが鍵ではないでしょうか。
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